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天国には1つの掟があるという。
アヒルを踏んではいけないのだ。

 




3人の女性が事故で死んだ。
天国に着くと、門番から 「天国には1つだけ掟がある。アヒルを踏んではいけない。それだけだ」 と注意をうけた。

中に入ると、アヒルだらけ。
とても踏まずには歩けないほどだ。
注意を払っていたが、3人のうち1人がうっかりアヒルを踏んでしまった。

すると門番は、見たことないような醜い男を連れてやってきた。
「アヒルを踏んだ罰として、この男と永遠に繋がれることになります」
と、その男と女性を鎖に繋いでしまった。

翌日、2人目の女性も、アヒルを踏んでしまった。
最初の女性と同様、女性と醜い男と鎖で繋がれた。

3番目の女性は、事の一部始終を見ていたので、細心の注意を払って、日々を過ごした。

アヒルを踏まずに数ヶ月が過ぎたころのある日。
門番は今まで出会ったことがないぐらいハンサムな男を引き連れてきた。
そして、なにも言わず、二人を鎖にくくりつけた。

「アヒルを踏まなかったご褒美かな?」

と聞くと、男はこう答えた。

「いや、僕も事情は分からないんだ。ただ、アヒルを踏んだだけなんだ」